なアと思うんですよ。由吉さんのまた行かれることを聞いても、第一に鶏が浮んで来てね。こういうのが、やはり、供養というんでしょうね。だから、今日のもつまり、これも鶏供養です。」
「それはそういうものでしょうね。兄さんと行くようなことにでもなったら、あたしあなたの代りに沢山鶏を食べといて上げてよ。」
千鶴子は鶏の肩の部分にナイフを入れながら、ちらっと矢代の顔を伺って云った。
「じゃ、あなた、また行かれるおつもりもあるんですね。どうも、いまいましいなア。」
と矢代は、槙三のいる手前もあって軽く、眉を上げて笑った。
「でも、兄さんから行こう行こうって云うんですの。帰ってから半年目と一年目に、一番また行きたくなるって云うけれど、どうもそのようね。何んだかしら、あたしもそのせいか、ときどきふらふらっと、眼暈いするみたいに行きたくなることがあるの。あなたは?」
「僕は今日のように、鶏の出るときだけだ、行きたいのは。」
「外国の鶏はこれよりもっと美味しいんですか。」
とまた槙三は質問した。
「たしかに美味かったと思いますね。」
矢代はそう答えながらも、さきから、これが鶏の罰かとひそかに思ったほど
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