がり、窓の外で赤赤と群れている南天の実に日の射し込んだ艶も、高熱に病むものの閉じた瞼の静けさに似て見えた。
「しかし、千鶴子さんの熱は、あなたのと同じ質のものならもう少し早く来ている筈だと思うんだ、がそれともこんなことは、人によって遅速があるだろうから、やはりそうかな。」
矢代は考え込むと見舞いに行けない事情に今さらいら立たしさを感じて、突然塩野の返事をうながすように訊ねた。
「さア、そこがね。」
「遅くても来るものなら、そのうち僕にも来るかもしれないんだ。」
「じゃ、君はまだだったの?」と塩野は意外そうな表情で訊き返した。
「僕は東北の温泉へすぐ逃げたのさ。いやらしいからね、そんなのにやられちゃ。」
「それや、卑怯だ。」
塩野は急に鋭い声でそう云って笑い、矢代から顔を背けた。
「ところが僕のはまた一寸違うので、母が東北なものだから一つは先祖に敬意を表したくなっていったのさ。これが卑怯なら、自分を知らぬもののいうことだよ。どうも僕は、先祖のしたことが急にこのごろ気になって来てるんだ。」
「しかし、先祖というものは、力試しに少しは子孫に反抗させてもみたいものじゃないのかな。僕はどうい
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