の傍へ来て坐った。
「どうです、このごろは。あッ、そうだ、今日はウイスキイのいいのがあるんですよ。およろしかったら持って来させますが。」
沢は笑いもせずぽつりとそう云って、勝手に女中にウイスキイを命じた。矢代は由吉や塩野たちを沢に紹介するとき、この人らは君の自慢のウイスキイの本場から帰って来たばかりだと説明した。
「ヘエ、それは困りましたな。しかし、お金はいただきませんから、いくらでも召し上って貰いましょう。」
「そういう人は、ロンドンにもいなかった。」
由吉の気転で一座は急に賑やかになると、沢は、「これは呑まれますかな。」と云って頭を掻いた。由吉は女中が持って入って来た黒い角壜の液体をひと目見た瞬間、
「いや、これは素晴らしいぞ。」と居ずまいを正しほくほくした。アルコールは廻らぬように見えながらも由吉にはかなり廻っているらしく、くだけた磊落な風格がますます出て、女中の手から鷲掴みに角壜を受けとりすぐ自分のコップに注いでみた。
「さア、これで鬼に金棒だ。」
ひと口由吉はコップに舌をつけてから、沢を見た。
「よろしいですな。これは。」
微笑を湛えた眼がぎろりと変ると、一瞬間閃くよ
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