りかかった気持ちが、どういうものか急に中途でなくなるのを感じた。後から来た順序で自然に由吉が床の前に坐らされ、その横へ千鶴子が坐った。
「塩野とも暫くだね。」
由吉は大徳寺の一行物の床軸を見上げてから、またあたりを尊大そうな身振りで眺め廻して塩野に云った。彼のその大仰な身振りは傲慢には見えず、一種の剽軽な微笑を絶えず泛べているので、却って磊落な風格を対う人に与えてくつろがせる妙があった。
「どうだったアメリカは?」
と塩野は由吉に訊ねた。
「そうだね、へんに大きいけれども、どうも隙間も大きくってね。」
由吉はそう答えたまま、後は二人に待たせたきりで何んとも云い出そうとしなかった。
「何んだ、それだけか。」
塩野の笑っているところへ酒が出て来たので活気づいた座の外へ、自然とアメリカの談が押し出された形となって、猪口が動いた。
「大石はどうしてる。」
こう云う由吉の問いから塩野と彼との間で、暫く大石の噂が出た後、それにつづいて由吉と塩野たちの、パリ、ロンドン間の交遊仲間の話ばかり懐しげに出揃った。それらの仲間はみな、パリの「十六区」に棲んでいる日本の上流階級の者たちばかりの名前で
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