能力を顕すものと一般に思われがちであったから、客も新聞社から頼まれればその熱意に動かされ、自然に二社の激しい競争の中に巻き込まれざるを得なかった。こうしていつの間にか、矢代も南も同車の敵という運命に置かれてしまっている二人だった。
「しかし、わたしはたしかにT社から頼まれたんですよ。手紙まで貰ったんですから、わたしがT社の筈ですがね。」
 と南はまた怪訝そうに小首をかしげて考え込んだ。
「じゃ、あなたを日本人一人だと見て持ち込んだんでしょう。」
「そうかもしれませんな。まア、どっちでもいいや。持って帰ってやりましょう。」
 無造作に南は云ってから、急に矢代の方へ首を突き出し小声になった。
「どうです。あなたのそのフィルムと、わたしのとこっそり取り替えっこしときましょうや。え? 面白いですぜ。そしたら。」
 人柄に似合わずふざけ方がひどいので、矢代は黙って彼の顔を見上げていると、また南は首を突き出し、
「ね、替えときましょう。その方が面白いじゃありませんか。」
 冗談にしては意外に乗り気な表情である。
「まさかそうも出来んでしょう。」
「どうしてです?」
 同意を示さぬ矢代に疑問を感じた
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