て河岸をぶらついた。彼は太いプラターンの幹を仰ぎ、自分の一番倦き易いことを一つどこまでも耐えてみようと考えた。そして、その忍耐でいつも自分を虐めつけ、何事か呻くような復讐を自分にしてやりたいと思うと、もう襲って来ている退屈さの底から、セザンヌの画面が鮮やかな緊り顔でじっと自分を見詰めているように感じられた。
久慈たちが矢代と落ち会ったのはお茶どきだった。千鶴子は日本へ帰る準備の土産を探しに朝から出歩いて来たのだといって、少し疲労の泛んだ顔で、カフェーのテラスの群りよる外人たちの中に混っていた。
「もうお帰りになるの。あたしも帰りたい。」
と真紀子は思わず云ってから、久慈のいるのに気がつき、
「今日は何にお買いになって?」と訊ね返した。
「いろいろなもの。でも、いいお店は皆ストライキで休みでしょう。欲しいもの何も手に這入らないんですのよ。ロンドンだと男の方の欲しいものばかりだけど。――女のものはやはりここでなければありませんのね。」
「もう帰る話か。うらやましいな。」
と久慈は云ったが、一向に羨望した様子にも見えなかった。
「でも、これでもあたし長くなりすぎた方なの。ほんの一寸
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