うの。」
「いいねその方が。意味が深いし、君の心境もよく出ていてなかなか美しいや。青踏派だな君は。」
久慈は実際に自分たち二人の心中の遊動円木も、揺れやんでいる後の静かな会合のように進んでゆくのを感じ、心に暗示を与えてから徐徐に今日一日の青芝を踏みたいと希う真紀子の努力もよく分るのだった。
「もう一つ二つ作ってあなたから東野さんに見てお貰い出来ない。何んと仰言るかしらこんなの?」
手帳を受け取ってそう云う真紀子の顔を久慈は見返りながら、
「駄目だ、東野さんこんなの俳句じゃない抒情詩だというね、あの人は俳句を踏み込みだというから、見せたってやられるだけだよ。」
「いいわ、その方が。」真紀子は笑った。
「しかし、俳句が踏み込みだなんて、よく分らないね。お負けに僕の足を踏みつけたからな。」
久慈はこう云ったとき東野が足を踏みつけた後で、この痛みどこより来ると云ったその踏み込みの疑問を思い出した。まったくそういえば、ただこのように真紀子と静かにじっと並んでいるだけでは、二人にとって何事でもないのかもしれぬと思った。どちらも互に踏み込み合って乱れた後の静けさからは、まだ遠い自分たちだと気が
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