い石の肌がぼろぼろ首筋へこぼれ落ちた。
「まるでこれや、歴史みたいだな。」
と久慈は闇の中で呟いて笑った。
「だって、恐いのよ。あなた見えて? あたしちっとも見えない。」
上では昇りつめたらしい塩野がもう扉にぶち衝っている音がしていた。五つ目の最後の鍵を廻す音も同時に聞えた。
「早く来てくれエ。固い固い。錆びてやがる。」
塩野はそんなに云いながらまたどすんどすんと体当りをしつづけた。皆が上へ昇り着いたとき塩野はいら立たしそうな声で、
「どの鍵も合わん。ちぇッ。」
と云って、滅茶苦茶にがちゃがちゃと鍵を廻してはまた別のを嵌めてみた。
「駄目かな、これや。」
下唇を噛んだまま手を休めて暫く扉を無念そうに仰いでいてから、彼はまた狂ったように扉に突き衝った。すると、永らく風雨に閉じ詰っていた扉は下に鮮やかな新しい条目を印けて開いた。初めて生きた気流に触れた爽爽しさで外郭へ立って見ると、ここは丁度御堂の真上の屋根のうえで鐘楼の下であった。怪獣が欄干のいたる所にたかっている。馬、熊、鳥、兎、鹿などの変態が、戯れた鬼のような容子で、のどかにパリの街を見降ろしながら遊んでいる。
「ここへ来た
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