だと、瞬間自責を感じて通りの晴れ間に葉を拡げたマロニエに眼を移した。
「それはそうと、東野さん、久慈は二三日行方不明で困ってるんですが、あなたの所へ顔を出しませんでしたか。東野のおやじ来んかな、やっつけてやるんだがって云ってましたから、もしかと思いましてね。」
「来んな。どこへ行ったんだろ。」
 東野は考え込む風だったが、別に心配そうな顔はなく、にやにや笑って顎を支えながら云った。
「僕に怒ったって、それや殊勝な男だな。」
「何んだかこの間の議論をときどき思い出すらしいですね。」
「もうじきまたひょっこり現れるだろうが、顔を出したらもう一ぺん揉みくちゃにしようじゃないか。そうするとあの男面白くなりそうだ。あのままだといつまでここにいたって無駄だからな。」
「まだやるんですか、それや少し気の毒だ。」
 矢代はこの調子だと今に自分も叩きのめされそうだと、内心覚悟を決めて薄笑いをもらしつつ、どちらへ転がるか分らぬ無気味な東野の表情に注意した。
「そうすると、僕もまだこれや、東野大学なかなか卒業出来んらしいですね。」
「君もまだだよ。君は人間の過去ばかり考えたがる。それはいかん。」
「いや、未
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