間にか浮き上げているのだった。部屋の隅から、客のシャンパンばかりをじっと見詰めているユダヤ人らしいマネージャーが、時間を計って氷に万遍なくシャンパンの触れるようにと壜を廻しに現われた。コップに注がれるシャンパンに随ってテーブルの上に皿が重ねられ、その皿の数が遊興費となる踊場では、頭が朦朧となるにつれて皿の柱も延び上っていく仕掛けだった。久慈が踊って椅子へ戻って来る度びにイタリアの女は東野に踊ろうと迫ってきかなかった。
「いや、電話とじゃ踊れないや。」
と東野は日本語で云った。分りもしない日本語の癖に女は相槌を打って笑った。もう三人とも誰の話も聞こうともしない。踊子らにシャンパンをすすめながらそれぞれ勝手なことを話しているうちに、
「ほう、これはどうじゃ。」
と矢代が高く柱となって延び上っている皿を見て笑った。
「ははア、元気がいいな。生きとるぞ、こ奴。」
と久慈も面白そうにテーブルの上の皿を見ながら笑った。初めは一本だった皿の柱が二本になって延びていた。いつの間にか客たちは部屋いっぱいになって来ていたが、三人はもう他の客の顔など見えなかった。イタリアの女は一番女たちから敬遠される
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