ならず、今は人人の念じるところ、それぞれ違った角度からとはいえ、新アジヤに対い沸沸と湧くもののようやく底から逆巻き返して来ている物音が、公園の長蛇の列からも感じられた。
 しかし、矢代は、自分ならむしろ新世界としたがった。東野と大きさを較べるわけではなく、一分の小さな柱の穴から、空の光を望み噴き立ちのぼった、白蟻の群のように秩序ある、繊細柔軟な想いにも似ており、またそれは、いま見た蝋色の子蜂の透明な脚先が、弁にかかったひとときの花底に流れる、いのちのような真新しさであり、新秋のみのりにも通じる敬虔な祈りのようなもの。
 ――彼の希っているのは、そんな新世界の芳情ある題であった。

 日も落ちてから矢代らは、あまり日比谷とへだたらぬ懐石店へ集った。世話係の塩野はもう見えていて、東野の講演の番までそこで夕食を摂り、その後、田辺侯爵の別邸まで皆で行くことになっていた。青い実を垂らした藤棚をくぐって、矢代たちと前後して来た大石につぎ、佐佐や遊部、それから平尾男爵、速水、などの顔まで揃った。皆より少し遅れて来た久慈は、肩幅のある薄羅紗の夏服に、ブルターニュの農民用の紺木綿のワイシャツへ、毛糸の編
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