まで早々。」

 言葉をそのままには受けとりがたいとはいえ、ぴしゃぴしゃ平手で叩き落してくる、久慈の文面を見ても、同情されるより矢代は気持ちよかった。しかし、読み返しているうち少からず腹も立って来る手紙だった。どんな仕事か分らぬながら、自分の多忙さを楯に姿を匿そうとする態度には、新帰朝者に見受ける見栄すらも感じられた。殊に千鶴子との間を難じるあたりの書き方には想像に絶したものもあって、自他の間をひき歪めて悔いない強さもちらりと顔を出していた。けれども、一つは結婚の話であり、結婚となれば他人の事ではなく、このように他人を叩いて廻る作法も出がちなものだと矢代は思った。また今はのっぴきならぬ戦争の際でもあった。未婚者の考えはどこでどのように変るか外からは分るものではなく、矢代自身にしても、戦争が始ってからは、覚悟のこととはいえ、いつ応召するか分らぬ身であれば、残るものの身の上も考慮に入れて物いう風になって来ていた。それも矢代のように、結婚を他の理由で延ばしていることが明瞭な場合でさえ、立つもの、残るものと考えると、延ばしている理由が戦争と一つにならざるを得なかった。久慈も何かこの間必ず原因の
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