親戚になっている真新しい今日の事実も、ふと思うと、まだ嘘のような物足りぬ感じだった。しかし、この前こうして三人で会ったときより、親しさの濃度は争いがたく深まっているのも、却って、槙三を見る矢代の胸に遠慮の増す思いもつよくなり、彼はそれを素知らぬ風に装うにもとかく羞う気持ちさえ感じるのだった。実際、何かしら変っている一同の沈黙だった。
「いつか千鶴子さんからうかがったこと、ついそのままになって失礼しました。どうも僕には、あの集合論のことは難しくって――」
 矢代は横浜で東野らの船の入港を待つ間に聞いた、千鶴子が槙三から依頼されたという幣帛の切り方と集合論の相似の件につき、そのまま返事を遅らせていた自分の無沙汰を思い出して詫びたのだった。
「ああ、あれですか。」
 槙三も思い出したらしく笑った。
「ああいうことは、僕は、ただの暗示があるということだけでも良いと思うのですがね。馬鹿らしいと思えば、もう何もかも馬鹿らしくなる種類のことなんだからなア。」
 骨を抱いた身で、もう今は云うまいと努力しながらも、返事を遅らせた責任上、矢代はそれだけ云って今日は終りにしたかった。
「しかし、あのことは僕
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