の文章とそんなに違わぬ内容に自然になって来るのも、このような特別の日だからかもしれぬと思ったりした。
二人は木椅子から立って芝生の丘の方へ行くと、制服の学生がひとり裏門から入って来た。その学生はいつも坐るらしい陽あたりの好い場所まで来て、うすい芝生の葉の上へ肱をつき原書を披いた。矢代は自分の学生のころを久しぶりに思い出した。そして、緑色の芝生の中で光る金色の背文字と白い頁を見て、あそこは自分も前に通って来た青春の日の駅だったと思った。
矢代は千鶴子と一緒に、東野や真紀子と室町へ出かけたのは二時を少し廻っていた。三越の呉服部で、結納の品を四人の意見で矢代のは袴にし、千鶴子のは紋服に定めた。それから暫く場内を廻ってから四人は外へ出て、上野博物館へ行った。これも四人は西洋のデパートや博物館と、日本のものとを較べてみたい気持ちに動かされたからだったが、三越の大きさや美しさは、決して負けをとらぬというのが、四人の一致した観察だった。殊に買物の際の勘定の迅さにいたっては世界一だと、東野は賞めた。中でも食堂の女ボーイの暗算の速度と正確さは無類であった。
「しかし、そこに油断のならぬものもあるね
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