、みな人はそれぞれ何らかの意味で科学的になって行く。
「この公園をこうして見ていても、これからの世の中は、人間的なものと、非人間的なものとの和解になってゆくんだということが、つくづく感じられるなア。今日は結納の品定めに行くんだけれども、僕とあなたも、その放れた二つのものを一つに結びつけて行くようにしたいものだが、――夢のかけ橋だ。思いかなわぬ身なれども、という憂愁は、もう誰にでもある。」
矢代は傍に千鶴子のいることも、このときはもう忘れふとそう云って笑った。そして、千鶴子の片腕を一寸自分の腕へ組みとってみて、ぴたぴたと彼女の手の甲を片手で叩いた。いつかピエールがそこへ接吻したことがあるというその手の甲だった。千鶴子の靨もいつもより動かず、
「でもあたし何んだかしら、まだ恐いの。ほんとにいいのかしらと思うの。」
白足袋の下で舞いつづけている一匹の水すましの波紋を眺め、そういう声もうつろに響いた。
「どういうところが恐いのです。」
「何ぜだか分らないのよ。でも、恐いわやっぱり。」
「とよのようには、いかないものかな。」
矢代は何気なくそう云ったものの、しかし、今の場合に恐いという千鶴
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