カソリックの用いた大砲に滅ぼされた僕の先祖の城を見て下さる日のあることを想像し、そのときのあなたの悲しみ――あなたの子供の先祖の荒廃した城あとを、御覧になる日のことを思い描き、やはりこれだけは隠すべきことではないと決心いたしました。よしたといこのことが、どんなにあなたの胸を衝く結果になったとしましても――一度は正視すべき要のあるひそやかな惧れを、今のうちにあなたと共に切開して置きたいと思います。しかし、僕としましては、このカソリックに感謝すべきことが少くありません。第一に、僕の先祖の城が、日本で最初に用いられた大砲のために滅ぼされてみたということです。この犠牲は、他のいかなることよりも、なくてはならぬ重大必要な犠牲でした。今はも早や、どの人人の脳中からも消え去ってしまっている貧寒な犠牲でありますが、しかし、これほど近代の日本にとって緊要な犠牲があったでしょうか。火薬の爆発力を初めて感じた瞬間の壊滅の中には、世界を変形しゆく何ものか見えざる意志の秘密を、誰より先に感知した叫びが籠っていた筈です。この最初に大音響の発声された地が、僕の家の城砦だったという偶然は、これを僕はただの偶然事として
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