げに来るのでのう。工賃を米でくれというので、それじゃ、どっちも丸公にしょうというたばかりじゃ。はははは。米を持ってると、何んでも公正価でいけるでのう。」
私は三間とはへだたぬ久左衛門のこの炉端へ、殆ど来ないので、少からず彼には不服のようだった。彼から私は今いる部屋を世話せられ、私係りは久左衛門だと村のものから思われているのに拘らず、その私が遠ざかっているのだから、彼とて少しは不機嫌にならざるを得なかろう。村のものらの久左衛門に向っている烈しい悪口が、私の耳へも届いていると思っていることには間違いなくとも、そんなことはどうでも良い。私には、道路の傍の彼のこの炉端は人の集りが多いので、自然に足が動かぬだけである。それも集るものに村の有力者が多いので、なおさら私の足は重くなる。
「久左衛門さんにお米のこと頼んでみて下さらない。もううちには無いんですもの。」
妻は私の出がけにそんなことまで耳打ちしたが、米のことなど私は彼には云いたくない。いや、何一つ久左衛門には私は頼まぬつもりだ。また今までとても、まだ私からは物資のことなど彼に相談した覚えはない。
「お前んとこ、ここの村へ闇左衛門の世話で
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