ったばかりですよ。その足で来たのです。」
栖方の発音では父島が千島《ちしま》と聞えるので、千島へどうしてと梶が訊ね返すと、チチジマと栖方は云い直した。
「実験をすませて来たのですよ。成功しました。一番早く死ぬのは猫ですね。あれはもう、一寸光線をあてると、ころりと逝《ゆ》く。その次が犬です。猿はどういうものか少し時間をとりますね。」
と栖方は低く笑いながら、額に日灼《ひや》けの条《すじ》の入った頭を痒《か》いた。狂人の寝言のように無雑作《むぞうさ》にそう云うのも、よく聞きわけて見ると、恐るべき光線の秘密を呟いているのだった。
「僕は動物の心臓というものに興味が出て来ましたよ。どうも、いろいろ心臓に種類があるような気がして来て、これを皆|験《しら》べたら面白いだろうなアと思いました。」
栖方の武器は、事実それなら進行しているのだろうか、と梶は思った。しかし、何ぜだか梶は、ここまで彼と親しくなって来ていても、それが事実かどうかを栖方に訊き返す気はしなかった。あまりに面倒で起っている事件は異様すぎて、却《かえ》って梶に迫力を与えない。のみならず、どこかで栖方をまだ狂人と思っているところが
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