《さいだいもんだい》である岩漿分化《がんしょうぶんか》と母液《ぼえき》との関係《かんけい》の説明《せつめい》に這入《はい》って刺《さ》され出《だ》したのだが、Aは突然《とつぜん》、黒曜石《こくようせき》の結晶母液《けっしょうぼえき》となるべき硅酸《けいさん》の比重測定《ひじゅうそくてい》の方式《ほうしき》はダーウィンによって始《はじ》められたといい出《だ》したのだ。私《わたし》は無論《むろん》のことそこに並《なら》んでいた者達《ものたち》と同様《どうよう》に今《いま》までダーウィンを生物学者《せいぶつがくしゃ》だとばかり思《おも》っていたQにとって、これはあまりに意外《いがい》であった。もうそうなれば今《いま》までの問題《もんだい》であった熔岩中《ようがんちゅう》の各鉱物《かくこうぶつ》の比重差《ひじゅうさ》と沈澱位置《ちんでんいち》などということにかけてはAが最《もっと》もよく知《し》っているに定《きま》っているのだ。座《ざ》はそれから次第《しだい》に結晶学《けっしょうがく》の法則《ほうそく》そのままの形《かたち》をとり始《はじ》め、その各人《かくじん》の比重《ひじゅう》に従《したが
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