で扇《おうぎ》のように廻《まわ》っている光《ひか》りばかり[#「ばかり」は底本では「かばり」]を追《お》っ駈《か》けながら、私《わたし》は浮《う》き続《つづ》けているのである。今《いま》や私《わたし》には生活《せいかつ》はどこにもない。心《こころ》は光線《こうせん》のように地上《ちじょう》を蹂躙《じゅうりん》しているだけだ。直《ま》っ二ツに割《わ》れていく時間《じかん》の底《そこ》から見《み》えるのは、墓場《はかば》ばかりだ。太古《たいこ》が私《わたし》の周囲《しゅうい》を取《と》り包《つつ》んで眠《ねむ》り出《だ》した。夢《ゆめ》と夢《ゆめ》とが大海《たいかい》のように拡《ひろ》がってはまた拡《ひろ》がる。私《わたし》はその行衛《ゆくえ》を見守《みまも》りながらいつの間《ま》にか砕《くだ》けてしまう。ふと私《わたし》は横《よこ》にいるリカ子《こ》を見《み》ると、自分《じぶん》の位置《いち》を取《と》り戻《もど》した。しかしリカ子《こ》は――この半島《はんとう》とも匹敵《ひってき》すべき巨大《きょだい》な怪物《かいぶつ》は何物《なにもの》であろう。――私《わたし》は彼女《かのじょ》の身
前へ
次へ
全58ページ中55ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
横光 利一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング