》きと子供《こども》のようになり始《はじ》めた。それは喜《よろこ》ぶときの彼女《かのじょ》の癖《くせ》だ、しかし、それより彼女《かのじょ》にひとり置《お》かれたQはこれからどうするだろう。彼女《かのじょ》とまた一《ひと》つの生活《せいかつ》を続《つづ》けていかねばならぬ私《わたし》こそどうすれば良《よ》いのであろう。が、何《なに》はともあれ先《ま》ずその夜《よ》は一|度《ど》Qの家《いえ》へ帰《かえ》り、来《き》たければQにその事《こと》をいって更《あらた》めて来《く》るようにとリカ子《こ》をなだめて私達《わたしたち》二人《ふたり》は外《そと》へ出《で》た。外《そと》へ出《で》ると彼女《かのじょ》は通《とお》りがかりの神社《じんじゃ》の境内《けいだい》へ這入《はい》っていって鈴《すず》を振《ふ》った。その間《あいだ》私《わたし》はひとり門前《もんぜん》に立《た》ったまま宙《ちゅう》にぶらりと浮《う》き上《あが》っているかのような不安定《ふあんてい》な自分《じぶん》を感《かん》じていた。リカ子《こ》は神前《しんぜん》から戻《もど》って来《く》ると私《わたし》にそこの神前《しんぜん》へいっ
前へ
次へ
全58ページ中44ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
横光 利一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング