貧を記す
堺利彦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)環睹蕭条《かんとしょうじょう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|蒼蠅《そうよう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから17字下げ]
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月曜付録に文を投ぜんの約あり。期に至りて文を得ず、しかれども約は果たさざるべからず。すなわちわが日記をくり返して材を求む。材なし。やむことをえずしてここにわが貧を記す。もとより日記の文をそのままに摘録せるなり。我と共に貧なる者は世に貧同人のあることを知れ。富貴なる者は単にわがごとき貧者のこの世に存在することを知れ。
[#ここで字下げ終わり]
新居
三月二六日、有楽町の家を借りてそうじしつ。
二八日、垂柳子住み込みぬ。垂柳子のいとこ某を雇い来たって小使いなど頼めり。主人たる我はここにおるがごとくおらざるがごとし。○○町の宿の払いのできぬゆえ荷物も取寄せられぬなり。
垂柳子と某と我と、そば、すし、いなりずし、大福もちなど食らいて日を送る。
湯川が受け合いたりし金ト
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