○○○れた。彼はまっぱだかで、廊下の石だたみの上に、仰向けに大の字に寝ていた。○○ならいくらでも○○、○○○○○○、とでも言ったような態度だった。巡査らはなおそれを○○たり、○○○たりした。皆はこうしの中から声を限りにののしりわめいた。○○○! ○○○! ○○! ○○!。巡査らはようやく少し態度を改めて大杉君を室内に入れた。皆が極度に興奮していたが、ことに荒畑君の興奮は容易に鎮静しなかった。巡査らは荒畑君をわたしの室に入れて、そして水を持って来た。わたしは荒畑君の頭を水で冷やした。向いの室では、小便に行くから戸をあけろあけろと怒鳴るが、巡査らは寄りつきもしなかった。そこでとうとう小便のはずんだ人たちは、こうしの中から廊下に向かってジャアジャアとやり出した。廊下は小便の池になってしまった。
 それから皆は警視庁に移され、東京監獄(今の市ケ谷=いちがや)に移され、そして青鬼とあだ名された河島判事の予審に付せられた。罪名は官吏抗拒、および治安警察法違犯であった。公判の結果は、たかだが二カ月以上四カ月くらいなものだという見当だった。あんな何でもない、つまらん事件だもの、それ以上になりっこはない
前へ 次へ
全13ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
堺 利彦 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング