樹木とその葉
地震日記
若山牧水
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)古宇《こう》村
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)隣村|立保《たちほ》といふ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)あと※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]しだ、
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)わざ/\
−−
伊豆半島西海岸、古宇《こう》村、宿屋大谷屋の二階のことである。九月一日、正午。
その日の晝食はいつもより少し早かつた。數日前支那旅行の歸りがけにわざ/\其處まで訪ねて來て呉れた地崎喜太郎君が上海からの土産物の極上ウヰスキイを二三杯食前に飮んだのがきいて、まだ膳も下げぬ室内に仰臥してうと/\と眠りかけてゐた。
其處へぐら/\ツと來たのであつた。
生來の地震嫌ひではあるが、何しろ半分眠つてゐたのではあるし、普通ありふれたもの位ゐにしか考へずに、初めは起上る事もしなかつた。ところが不圖《ふと》見ると廊下の角に當る
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