樹木とその葉
海邊八月
若山牧水

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)古宇《こう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)江の浦|重寺《しげでら》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)見て※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つた

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぐる/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 昨年の八月いつぱいを伊豆西海岸、古宇《こう》といふ小さな漁村で過しました。これはその思ひ出話。
 八月いつぱい、子供を主として何處かの海岸で暮したい、さういふ相談を妻としてから七月の初め私はその場所選定のため伊豆の西海岸へ出懸けました。西海岸と云つてもさう不便な場所では困るので、この沼津から靜浦灣を挾んで、殆んど正面に見えて居る西浦海岸を探す事になつたのです。幸ひそちらには我等の歌の社中の友人も居るので、大よその事をその友人に調べておいて貰ひ、先づ此處等がよからうといふ事を聞いた
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