樹木とその葉
青年僧と叡山の老爺
若山牧水
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)爲事《しごと》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)見※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]すと
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)どや/\と
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一週間か十日ほどの豫定で出かけた旅行から丁度十七日目に歸つて來た。さうして直ぐ毎月自分の出してゐる歌の雜誌の編輯、他の二三雜誌の新年號への原稿書き、溜りに溜つてゐる數種新聞投書歌の選評、さうした爲事《しごと》にとりかゝらねばならなかつた。晝だけで足らず、夜も毎晩半徹夜の忙しさが續いた。それに永く留守したあとのことで、訪問客は多し、やむなく玄關に面會御猶豫の貼紙をする騷ぎであつた。
或日の正午すぎ、足に怪我をして學校を休んでゐる長男とその妹の六つになるのとがどや/\と私の書齋にやつて來た。來る事をも禁じてある際なので私は險しい顏をして二人を見た。
『だつてお玄關に誰もゐないんだもの、
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