まで七歌集の中から千首ほどを自選して一册に輯めた
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行人行歌   (大正  四年四月)  植竹書院
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 があつたが間もなく絶版になり、同じく最初より第九集『朝の歌』までから千首を拔いた
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若山牧水集  (大正 五年十一月)  新潮社
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 との二册がある。
 處女歌集『海の聲』出版當時のいきさつをばツイ二三ヶ月前の『短歌雜誌』に書いておいたから此處には略《はぶ》くが、思ひがけない人が突然に現はれて來てその人に同書の出版を勸められ、中途でその人がまた突如として居なくなつたゝめ自然自費出版の形になり、金に苦しみながら辛うじて世に出したものであつた。私が早稻田大學を卒業する間際の事であつた。
『獨り歌へる』は當時名古屋の熱田から『八少女』といふ歌の雜誌を出して中央地方を兼ね相當に幅を利かしてゐた一團の人たちがあつた。今は大方四散して歌をもやめてしまつた樣だが、鷲野飛燕、同和歌子夫妻などはその頃から重だつた人であつた。その八少女會から出版する事になり、豫約の形でたしか二百部だけを印刷したものであつた。形を
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