ッテルの壜をへばりつけた。それから爪の先で、いろいろやってみてやっと栓《せん》を抜いた。
「さあ、しめたッ」
私はそのひとたらしもない薬液を、口の中へ滴《たら》しこんだ。それはたいへん苦《にが》い薬だった。
スーッと身に涼風《りょうふう》が当るように感じたそのうちに、エレヴェーターで下に降りるような気がしてきた。それと共に身体が冷《ひえ》て、ガタガタ慄《ふる》えだした。しかし、ああ、私の身体はドンドン小さくなって行く。坐っていて箪笥《たんす》の上に首が載《の》ったのが、今は箪笥と同じ高さになった。
ますます縮んでいった。立ち上っても、頭が鴨居《かもい》の下に来た。椅子に坐ってみても丁度《ちょうど》腰の下ろし具合がいい。もうこれで元のようになったと感じた。
しかしである。また心配なことが起って来た。元のようになった身体は、まだグングン小さくなってゆくのだった。椅子に腰を下ろしていて、足の裏がいつの間にやら、絨毯《じゅうたん》から離れて来た。下へ降りようと思うと、窓から下へ飛び降りるように恐ろしくなってきた。私はお人形ほどの大きさになったのである。
それ位に止《と》まるならば、ま
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