(先生、僕を監視するつもりかしら?)
階段を上ると、そこにまた廊下があった。二階はたいへん薄暗い。いつもは電灯がついていたに違いないのだが、スイッチが手近に見あたらない。
右のとっつきに、扉が半びらきになった部屋があった。それを押して入ると、スイッチがすぐ目に映った。ピーンと上にあげてみると、パッと明りがついて、室内の様子がハッキリした。ここはどうやら食堂|兼《けん》喫煙室らしく、それと思わせるような什器《じゅうき》や家具が並んでいた。なんにせよ、どうも豪勢なものである。――若い警官は、相変らず彼の後について、室内へ入ってきた。
(いよいよ監視するつもりと分った!)
彼はちょっと不愉快な気持に襲われた。だが次の瞬間、帆村探偵は不愉快もなにも忘れてしまうような物を発見した。それは安楽椅子《あんらくいす》の上に放りだされてあった紙装《かみそう》の小函《こばこ》だった。
「おおこれはどうだ。赤バラ印の弾薬函《だんやくばこ》だッ。これを使う銃は、僕の探していたアメリカのギャングが好んで使う軽機関銃じゃないか。これは物騒《ぶっそう》だぞオ――」と帆村は身ぶるいして、戸口の方をふりかえった
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