んでて、どの店にも女の子が三味線をひいとる、えろう賑やかな横丁や。そこへ逃げこんだが最後、どこへ行ったかわかれへん」
「じゃあ、どっちも捕える見込み薄ですね」
「しかし儂《わし》の考えでは、二人ともまだこの一画のなかにひそんどる。それは確かや。この一画ぐらい隠れやすいところはないんや。そしていずれ隙を見て、チョロチョロと逃げ出すつもりやと睨《にら》んどる。もっと待たんと、ハッキリしたところが分れしまへんな」
そこへ一人の警官が、伝令と見えて、向うからかけて来た。
「いま向いの動物園の中で妙な洋服男がウロウロしとるのを見つけました。こっちへ出てくる風でおます。それとなく警戒しとります」
動物園というのは、公園南口停留場のすぐ向いにあった。この寒い夜中に、動物園のなかをうろついているというのはいかさま変な話だった。
そのとき村松検事が、例の病人のような骨ばった顔をこっちへ近づけてきた。
「オイ帆村君。なにか面白い話でも聞かさんか。儂は至極退屈しているんだ」
検事は浮かぬ顔をしていた。折角の捕物がうまくいかないので、腐っているらしい。
「面白い話は、こっちから伺いたいくらいですよ。蠅
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