し、そのうちにどこかに行ってしまったことを話した。大川主任は、なるほど、ほうほう、さよかいなを連発しながら、帆村の機智によるこの蠅男追跡談にいとも熱心に耳を傾けた。
丁度そのとき、部長の連れてきた一人の警官が、部屋に入ってきた。
「部長さん、あの娘がどうやら目が覚めたらしゅうおまっせ」
その警官は、蠅男の手によってこのホテルの帆村の借りている部屋に寝かされていた故玉屋総一郎の一人娘糸子を保護していたのだった。糸子は睡眠薬らしいものを盛られて、トランクのなかからズッと睡りつづけていたのだが、今やっと覚めたものらしい。
帆村はそれを聞くと、すぐに糸子のところへ駈けつけた。
「どうしました、糸子さん」
糸子はベッドに寝たまま、乱れた髪をすんなりとした指さきでかきあげていたが、思いがけない帆村の姿をみてハッとしたらしく、みるみる頬を真赤に染めて、
「まあ帆村さん、うち[#「うち」に傍点]どないして、こんなところへ来ましたんやろ。ここ、どこですの」
と、床の上に起きあがろうとしたが、呀《あ》っと小さい声をたてて、また床の上にたおれた。
「――目がまわって、かなわん」
帆村はつとよって
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