ろで継ぎ合わされているペン画が尤もらしく掛けてあるのを発見した。私はその奇妙な恰好が可笑しくなって思わず吹きだしてしまった。
 わが友人も、嫌な画を見られて失敗ったという表情をして、にやにや笑いだしながら、
「正にあの絵のとおりだとすると、実に滑稽じゃないか。しかしこの密書の断片は冗談じゃないんだよ。厳然として獏鸚なるものは存在するのだ。しかも、つい二三日前の日附でこの奇獣――だか奇鳥だか知らぬが――存在するのだ。ただいくら『奇蹟的幸運によった』としても、そんな獣類と鳥類の結婚は考えられない」
「手術なら、どうだ」
 と私は不図思い出して云ってみた。
「なに手術? そりゃどんな名外科医があって気紛《きまぐ》れにやらないとも限らないが、獏の方は身長二メートル半だし、鸚鵡は大きいものでもその五分の一に達しない。それではどこで接合するのだろう。もし接合できたとしても何の目的で獏と鸚鵡とを接合させるのだろう」
「目的だって? それは密書事件の状況から推して考え出せないこともなかろうと思うんだが……」
「そうだ」と帆村はいきなり椅子から立って部屋をぶらぶら歩きだした。「じゃ、君に、この密書に纏《
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