いうことだ。そのつもりで、これを日本文字に直してみよう」
[#ここから3字下げ、12字詰め、罫囲み]
右廻し――ソオイナ
左廻し――イ
右廻し――サヲトセノナチ
左廻し――ドニアニ
右廻し――ダモオ
左廻し――ラ
[#ここで字下げ終わり]
「どうだい! 判ったじゃないか。これがあの巨人金庫の鍵なんだ!」
私は唖然《あぜん》として、この解読暗号を見つめた。なぜこれで解けたというのか判らない。しかし帆村は歓喜極まって室内を躍るかのように走りながら、外套だの帽子だのを集めた。
「さあ行こうぜ。早いところ、巨人金庫の腹の中を拝見しなけりゃならない!」
私たちは、大急ぎで外へ出た。
(どうしてあれで解読されたのかい)と私は不審な点を訊ねた。しかし帆村は(金庫が開くまでは云えないよ)と頑張った。その代り別の質問をして、私の興味をあおった。
「おい君、あの巨人金庫の中に、何が入ってると思うかね」
「そりゃ判っているよ。もちろん江東のアイス王の一億何がしという目も眩《くら》むような財宝だろう」
「目も眩むような財宝? そんなものはもう入ってないさ。江戸昌が暁団を総動員して、すっかり持っていったよ」
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