中の溶液を、そのまま下水へ流してしまうことにしました。急いで流せば、こんな静かなところだからそれと音を悟《さと》られるので、排水弁《はいすいべん》を半開《はんびらき》とし、ソロソロと園長の溶けこんだタンクの内容液を流し出したんです。しかしそれは一つの大失敗を残しました。流出速度が極めて緩慢《かんまん》だったために、園長の体内に潜入していた弾丸《たま》は流れ去るに至らず、そのまま襞《ひだ》の間に残留《ざんりゅう》してしまったんです。この弾丸というのは、園長が沙河《さか》の大会戦《だいかいせん》で奮戦《ふんせん》の果《はて》に身に数発の敵弾をうけ、後《のち》に野戦《やせん》病院で大手術をうけましたが、遂に抜き出すことの出来なかった一弾《いちだん》が身体の中に残りました。その一弾が皮肉《ひにく》にも棺桶《かんおけ》ならぬ此のタンクの中へ残ったわけなんです。本当に恐ろしいことですね。なお附け加えると、園長の金歯《きんば》は、大胆《だいたん》にも私の見ている前でビーカー中の王水《おうすい》に溶かし下水道へ流しました。万年筆や釦《ボタン》は鴨田さん自身が撒《ま》いたもので、これは犯罪者特有のちょっ
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