、溶かすかしなければ出て来ない終身《しゅうしん》の認識標なんです」
「そんな出鱈目《でたらめ》は、よせ!」
 鴨田が蒼白《まっさお》にブルブルと慄えながら呶鳴った。
「いや、お気の毒に鴨田さんの計画は、とんだところで失敗しましたよ。貴方《あなた》は園長を殺すために、医学を修《おさ》め、理学を学び、スマトラまで行って蟒の研究に従事《じゅうじ》せられた。そして日本へ帰られると、多額の寄附をしてこの爬虫館を建て、貴方は研究を続けられた。七頭のニシキヘビは貴方の研究材料であると共に、貴重な兇器《きょうき》を生むものだった。私どもはよく医学教室で、犬を手術し、唾液腺《だえきせん》を体外へ引張《ひっぱ》り出して置いて、これにうまそうな餌を見せることにより、体外の容器へ湧きだした犬の唾液を採集する実験を見かけますが、貴方は生物学と外科とにすぐれた頭脳と腕とで、蟒《うわばみ》の腹腔《ふくこう》に穴をあけ、その消化器官の液汁《えきじゅう》を、丹念に採集したのです。それは周到なる注意で今日まで貯蔵されていました。そして又ここに並んでいるタンクは、巧妙な構造をもった人造胃腸だったんです」
 あまりに意外な帆
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