底を潤《うる》おす程度にとどまった。
 帆村は尚《なお》もスポイトの先で、弾力のある襞《ひだ》を一枚一枚かきわけ、検《しら》べていたが、
「呀ッ」
 と叫んで顔を寄せた。
「これだッ。とうとう見付かった」
 そう云って素早《すばや》く指先でつまみあげたのは長さ一寸あまりの、柳箸《やなぎばし》ほどの太さの、鈍く光る金属――どうやら小銃《しょうじゅう》の弾丸《たま》のような形のものだった。
 一同は怪訝《けげん》な面持で、帆村が指先にあるものを眺《なが》めた。帆村はその弾丸のようなものを鴨田の鼻先へ持っていった。
「貴方《あなた》はこれをご存知ですか」
 鴨田は腑《ふ》に落ちかねる顔付で、無言に首を振った。
「貴方はご存知なかったのですね」
 帆村はどうしたのか、ひどく歎息《たんそく》して云った。
「これはですね――」
 一同は帆村の唇を見つめた。
「――これは露兵《ろへい》の射った小銃弾《しょうじゅうだん》です。そして、これは三十日から行方不明になられた河内園長の体内に二十八年この方、潜《もぐ》っていたものです。云わば河内園長の認識標《にんしきひょう》なんです。しかも園長の身体を焼くとか
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