してみようと思ったが、これは重大な結果になりそうだから、もっと先で訊《き》くことにした。そしてそれとなく蟒全部の腹の膨れ工合《ぐあい》を検《しら》べてやろうと思った。
 それで裏手の鴨田理学士の研究室を見せて欲しいと云うと、直ぐ許されて、一同は潜り戸を入っていった。
 其処《そこ》はいとも奇妙な広い部屋だった。竪長《たてなが》の三十坪ほどもあろうという、ぶちぬきの一室だったが、縦《たて》に二等分し、一方には白ペンキを盛んに使った卓子《テーブル》や書棚や、書類函や、それから手術台のようなもの、硝子戸《ガラスど》の入った薬品棚、標本棚、外科器械棚などが如何にも贅沢《ぜいたく》に並び、其他《そのた》、人間が入れそうなタンクのような訳のわからぬ装置が二つも三つも置かれてあった。窓は上の方に小さく、天井《てんじょう》には水銀灯をつかった照明灯が、気味の悪い青白光《せいはっこう》を投げかけていた。床《ゆか》の一ヶ所を開けて地下に潜《ひそ》んでいる園丁の一団があったが、それは話のあった捜索隊に違いなかった。室の一隅《いちぐう》には警視庁の制服《せいふく》警官が二人ほどキラキラする眼を光らせていた。

前へ 次へ
全46ページ中18ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング