むしろ》のような上に寝かされていた。背中が痛い。裸に引き剥かれているらしい。起きあがろうと思って、身体を動かしかけて、身体の変な調子にハッとした。
「あッ、腕が利かない!」
 どうしたのかと思ってよく見ると、これは利かないのも道理、あたしの左右の腕は、肩の下からブッツリ切断されていた。腕なし女!
「ふッふッふッふッ」片隅から、厭《いや》な忍《しの》び笑いが聞えてきた。
「どうだ、身体の具合は?」
 あッ、夫の声だ。ああ、それで解った。さっき気が遠くなってから、この両腕が夫の手で切断されてしまったのだ。憎んでも憎み足りない其の復讐心《ふくしゅうしん》!
「起きたらしいが、一つ立たせてやろうか」夫はそういうなり、あたしの腋《わき》の下に、冷い両手を入れた。持ち上げられたが、腰から下がイヤに軽い。フワリと立つことが出来たが、それは胴だけの高さだった。大腿部《だいたいぶ》[#底本では「太腿部」]から下が切断されている!
「な、なんという惨《むごた》らしいことをする悪魔! どこもかも、切っちまって……」
「切っちまっても、痛味《いたみ》は感じないようにしてあげてあるよ」
「痛みが無くても、腕も脚
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