を覘《ねら》う。慾望の無くなることは無い。科学はオール・マイティーにして、同時にオール・マイティーではない。もっと明瞭《めいりょう》に云うと、科学はレラティヴリーにオール・マイティーであるが、アブソリュートリーにオール・マイティーではない。初等数学で現わすと、『オールマイティーじゃ』と云って誤りでない」
「どうも、あたしには哲学が判りませんのよ」
「高等数学だから判らんのじゃよ」
「そんなことより、遊星植民の実際はどうするんです?」
「いろんな方法があって、一々|述《の》べきれないが、素人《しろうと》に判りよい方法を三つ四つ、数えてみよう。まずお月様を征服することじゃ」
「まア!」
「ロケットという砲弾みたいな形の、箆棒《べらぼう》に速い航空機に、テレヴィジョン送影装置《そうえいそうち》を積んで月の周囲を盛んに飛行させ、月の表面の様子を地球の上のテレヴィジョン受影機にうつして、地理を研究する。これは月以外の、どの遊星へ植民するときも同じ手じゃ」
「偵察飛行みたいだワ」
「そうして、上陸地点を決定し、又上陸後はどのような方法で、地球の人間が衣食住をすべきかを計画する。計画が出来たら、地球
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