がらッ。がらがらッ。
 雑音が、またも天井裏《てんじょううら》の高声器から降ってきた。
 しぶい顔をして隆夫は、又してもはねまわるぬ雑音に聞き入った。
「だめだッ」
 スイッチを切る。
「いったいどこがいけないのか、見当がつかないや。どこも悪くないんだがなあ」
 がっかりして、彼はとなりの図書室の長椅子《ながいす》の上にのびて、ねてしまった。
 その翌日のことであった。
 学校のかえりに、二宮《にのみや》と三木《みき》がついて来た。
 隆夫は二人を小屋の中の金網の前につれこんだ。そして前夜からのことをくわしく説明した。
「ちょっとスイッチを入れてみないか」
 二宮がいったので、「よおし」と隆夫は電源スイッチを入れた。
 すると間もなく、例のがらがらッ、が始まった。だが昨夜ほど大きくはなかった。とはいうものの、他のよわい通信を聞き分けることは、とてもできないくらい雑音の強さは桁《けた》はずれに大きかった。
 二宮も三木も、かわるがわるパネルの前に立って、隆夫にききながら目盛盤をまわしていろいろ調整をやってみたが、さっぱり通信の電波は受からなかった。
 ただ二宮は、こんなことをいった。

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