がらッ。がらがらッ。
雑音が、またも天井裏《てんじょううら》の高声器から降ってきた。
しぶい顔をして隆夫は、又してもはねまわるぬ雑音に聞き入った。
「だめだッ」
スイッチを切る。
「いったいどこがいけないのか、見当がつかないや。どこも悪くないんだがなあ」
がっかりして、彼はとなりの図書室の長椅子《ながいす》の上にのびて、ねてしまった。
その翌日のことであった。
学校のかえりに、二宮《にのみや》と三木《みき》がついて来た。
隆夫は二人を小屋の中の金網の前につれこんだ。そして前夜からのことをくわしく説明した。
「ちょっとスイッチを入れてみないか」
二宮がいったので、「よおし」と隆夫は電源スイッチを入れた。
すると間もなく、例のがらがらッ、が始まった。だが昨夜ほど大きくはなかった。とはいうものの、他のよわい通信を聞き分けることは、とてもできないくらい雑音の強さは桁《けた》はずれに大きかった。
二宮も三木も、かわるがわるパネルの前に立って、隆夫にききながら目盛盤をまわしていろいろ調整をやってみたが、さっぱり通信の電波は受からなかった。
ただ二宮は、こんなことをいった。
「
前へ
次へ
全96ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング