けが来た。
 そして朝の行事がいつものように始まった。食事をしてから、隆夫は学校へいった。
 二宮孝作《にのみやこうさく》や四方勇治《よつかたゆうじ》がそばへやって来たので、隆夫はさっそく昨夜奇妙な受信をしたことを話して聞かせたら、二人とも「へーッ、そうかね」とびっくりしていた。
「三木《みき》はどうしたんだ。今日は姿が見えないね」
 三木にこの話をしてやったら一番よろこぶだろうに。
「三木か。三木は今日学校を休むと、ぼくのところへ今朝《けさ》電話をかけて来たよ」
 と、二宮がいった。
「ああ、そうか。また風邪をひいたのか」
「そうじゃない。病人が出来たといっていた」
「うちに病人? 誰が病気になったんだろう。彼が休むというからには、相当重い病気なんだろうね」
「ぼくも聞いてみたんだ。するとね、あまり外へ喋《しゃべ》ってくれるなとことわって、ちょっと話しがね、彼の姉さんのお名津《なつ》ちゃんがね、とつぜん気が変になったので、困っているんだそうな」
「へえーッ、あのお名津ちゃんがね」
「午前三時過ぎからさわいでいるんだって」
「午前三時過ぎだって」
 隆夫はそれを聞くと、どきんとした。

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