に、ズドンズドンと拳銃《ピストル》の銃口《つつぐち》を、組みあった二人の方に向けた。
「あッ、――うぬッ」
帆村は低く呻《うな》って歯をギリギリと噛みあわせた。左の腕に、錐《キリ》をつきこんだような疼痛《とうつう》を感じた。
「やられた!――」
と、その次に叫んだのは「右足のない梟」だった。二人の敵味方は、組み合ったままドウとその場に倒れた。
「折れた紫陽花」はこれを見るより早く、バラバラと二人のところへ駈けつけた。
「よォし、いま日本人をやっつける……」
そういって彼は拳銃《ピストル》の口を下に向けた。帆村は撃たさすまいと思って、組み合ったまま其の場にゴロゴロ転がっている。しかし運悪く、股のところを倒れた椅子に挟んでしまった。
「し、失敗《しま》った!」
もう身動きがならぬ。さあ、その次は、敵の拳銃《ピストル》の的《まと》になるばかりだ。
「折れた紫陽花」はニヤリと意地わるい笑みを浮べると、重い拳銃《ピストル》の口を帆村の背中に擬《ぎ》した。あッ、危い!
その一刹那のことであった。何者とも知れず、覆面の怪漢が砲弾のように飛込んできた。
「待てッ――」
と大喝《だいかつ》し
前へ
次へ
全78ページ中54ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング