ら考えた。――
「うん、そうだ。……こいつだッ」
 何を思ったか、彼は下に着ていた毛糸のジャケツをベリベリと裂いた。そして毛糸の端を手ぐって、ドンドン糸を解いていった。それを長くして、二本合わせると、手早く撚《よ》りあわせた。そしてポケットからナイフを取出すと、その刃を出し、手で握る方についている環《わ》に、毛糸の端をしっかりと結えた。そうして置いて、ナイフを格子の間からソロリソロリと下に下した。
 毛糸を伸ばすと、ナイフはスルスルと下に降りて、遂に手紙の上に達した。
「さあ、これからが問題だ!」
 そこで帆村は、釣りでもするような調子で毛糸をちょっと手繰《たぐ》って置いて、パッと離した。ナイフは自分の重味でゴトンと下に落ちて机の上を刺した。それを見ると彼は、注意して毛糸を上に引張った。――果然、机の上の手紙はナイフの尖《さき》に突き刺されたまま、静かに上にのぼって来た。
 手紙はクルクルと廻りながら、とうとう鉄格子の近くまで上って来た。――彼は指を格子の中へ出来るだけ深くさしこんだ。二本の指先が辛うじて手紙の端を圧《おさ》えた。
「占めた!」
 思わず指先が震えだした。途端に封筒がス
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