ルリと脱けて下に舞い落ちた。呀《あ》ッと叫ぶ余裕もない。指先には四つ折にした手紙があるのだ。彼は天佑《てんゆう》を祈りながら指先に力を籠めて静かに引張りあげた。遂に手紙の端が格子の上に出た。――もう大丈夫!
 摘《つま》み上げた手紙を、取る手遅しと開いてみれば、こは如何《いか》に、そこには唯《ただ》、水兵が煙草を吸っているような漫画が書き散らしてあるばかりだった。途端に下の部屋にドヤドヤと荒々しい靴の音がした。


   危機一髪


 帆村が空気孔から見下ろしているとも知らず、突然下の部屋に現われたのは、例の密偵団の覆面をした二人の怪人物だった。その一人は首領「右足のない梟《ふくろう》」であることは確かだった。もう一人の人物は、何物とも知れない。
「よく来てくれたねえ」
 といったのは首領だった。
「君の非常警報を受信したので、すぐに軽飛行機で高度三千メートルをとって駈けつけてきた。一体どうしたのだ」
 といったのは、別の人物だった。
 この話から考えると、首領は遂に警報を他の密偵区へ発したものらしい。それで召喚された密偵の一人が早速《さっそく》駈けつけたので、「右足のない梟」が迎え
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