気孔は太い鉄管になっていて、帆村の身体を楽に呑みこんだ。ソロソロと横に匍ってゆくと、掌《てのひら》は鉄管のために冷え冷えと熱をとられ、そして靴が管壁に当ってたてる音がワンワンと反響して、まるで鬼が咆哮《ほうこう》している洞穴に入りこんだような気がした。一体この空気管はどこへ抜けているのだろう。なにしろこう真暗では、何が何やら見当がつかない。
「おおそうだ。――僕は懐中電灯を持っていた筈だ」
帆村は重大なことを忘れていたので、思わず暗中で顔を赧《あか》らめた。慌てないつもりでいたが、やはり慌てていたのだ。もちろん生命の瀬戸際で軽業をしているような有様なのだから、慌てるのが当り前かも知れないが……。
「ああ、有ったぞ!」
帆村はいつも身嗜《みだしな》みとしていろんな小道具を持っていた。彼はチョッキのポケットから燐寸函ぐらいの懐中電灯をとりだした。カチリとスイッチをひねると、パッと光が点いた。有り難い、壊れていなかったのだ。眩しい光芒《こうぼう》の中に異様な空気管の内部が浮びあがった。彼は元気をとりかえして、ゴソゴソと前進を開始した。
だが、その前進は永く続かなかった。なぜなれば、五メ
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