と》のように床下に下ろした上で、二人を一座の中央に引据えて、その黒い服を剥《は》ぎとった。するとその覆面の下から現れた二つの顔! ああ意外にも、その大きい方の顔は、銀座に猿を連れて現れ、屍体からマッチ箱を盗んでいった大男だった。もう一人は知らない顔だった。
「まず最初に『狐の巣』に宣告する」と首領は言った。「君には秘密にすべきマッチ箱を売った失敗を贖《あがな》うことを命ずる。但《ただ》し我等の祖国は君の名をR団員の過去帖に誌《しる》して、これまでの忠勇を永く称するであろう、いいか」
「狐の巣」は絶望の眼をあげた。途端にドーン……という銃声が響いて「狐の巣」の身体は崩れるように床の上に倒れた。
例の大きな男は、これを見るや真青になった。
赤毛のゴリラ
銃殺に遭った「狐の巣」と呼ばれる男は多量の出血に弱りはてたものと見え、やがて宙を掴んだ手をブルブルと震わせると、そのまま落命した。
「さて次は『赤毛のゴリラ』に対する宣告であるが――」と首領「右足のない梟《ふくろう》」は厳《おごそ》かな口調で云った。一座はシーンと静まりかえって、深山幽谷《しんざんゆうこく》にあるのと何の選
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