と、サッと右手を水平にさし上げ、
「右足のない梟!」
 と呼んだ。
 するとそれが合図のようにその隣の黒装束が「壊《こわ》れた水車」と叫ぶ。その隣が「黄色い窓」という。そうして皆が別々に、わけの分らぬことを叫んだが、どうやらそれはこの一団の隠し言葉であって自分の名乗をあげたものらしかった。
「着席!」
「右足のない梟」と叫んだ首領は、そこで自《みずか》ら先に立って席に坐った。一同もこれに倣《なら》って席についた。
「今日はまず最初に、わがR団の第二号礼式を行う。――」
 そういって一同をズッと眺めた。
 すると、また別の、まるで地下に滅入《めい》るような音楽が起って来た。――ギギィッという軋《きし》るような音がして、途端《とたん》に一同の目の前の床が、畳《たたみ》一枚ほどガッと持ち上ってきたと思うと、それは上に迫り上って一つの四角な檻《おり》となった。檻の中には、同じ様な黒装束をした人間が二人突立っていた。
 檻がピタリと停ると、「右足のない梟」の隣にいた「壊れた水車」が席を立って檻に近づき、それを開いて二人を引張り出した。一人は大きいし一人はやや低い。
「壊れた水車」は檻をまた旧《も
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