よる禍は急に解消するに至る。
世界暦二千二百年
人類は地球の支配権を遂に植物に譲らなければならなくなる。
人類は最早到底、その量と力の上に於て、可動植物群に対抗し得るものではない。彼ら植物群の本能イズムとそのエネルギーは、人類が従来積上げたあらゆる文化力や防衛力を笑殺し、無慈悲に蹂躙し、そして無残に破壊して行く。人類の運命は明らかに傾いたといえる。
世界暦二千百五年
第四氷河期は終熄を告げた。
地球の上に再び春が訪れた。だが、深刻なる地底耐乏生活百年を経て、地上に匍い出した人達は、氷河期以前の約百分の一に過ぎない。しかしこの率は、予想外の好成績である。
地球上に、春は訪れ、夏は来った。百花開き、樹海は拡がり、黴類は恐ろしく生成し、地球全体は緑で蔽われ人々はたらふく野菜や果実をとって悦ぶ。だが人々は、蠅取苔が人間に噛みつくようになったり、歩行する植物に出会ったりするので、少し気味が悪くなる。
世界暦二千五十五年
第四氷河期が襲来!
北太平洋と南太平洋とに於て、激烈なる火山活動が始まり、その噴出物は天空に舞上って太陽の光を遮断するに至る。かくして氷河期となる
前へ
次へ
全8ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング