ょっと言葉を停め、彼にしずかな視線を送った。
「私は貴方から本当の話を伺いたいものです。今までの話には、嘘が交っていますね。さ、始めて下さい、熊井君を殺したいきさつを包まず……」

 はて、柴谷の話のどこに嘘があったろうか。名警部旗田は、どの点を以て、柴谷の陳述に偽りを認めたろうか。
 読者よ、判断あらんことを。ご判断がつかねば、もう一度始めからお読み直し願いたい。――それでもお分りにならなければ、次の文章を、終りから逆にお読みあれ。


 かいなはで筈たっかなけきが口ていでん死は井熊に既きとたっ帰が谷柴らな故何。いなら分はに谷柴たっ帰てれ後、はかたっ戻が井熊つい。いなが筈る分は事なんそ、しかし。たっいと「たいつり帰へ荘山てれ後分五りよ君井熊」は谷柴れか



底本:「海野十三全集 第11巻 四次元漂流」三一書房
   1988(昭和63)年12月15日第1版第1刷発行
初出:「宝石」
   1946(昭和21)年4月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:kazuishi、柳原わたる
2005年12
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