だ。おい、全隊、土を崩して、地下戦車を急ぎ掘り出せ!」
 珍らしい号令が出た。
 待機していた小隊の全員は、鶴嘴《つるはし》とシャベルとをもって、戦車のそばに駈けつけた。
 そして急いで土を崩して、地下戦車を救いにかかった。どうやら、地下戦車第一号は、失敗の巻《まき》らしい。


   科学する心


 せっかく骨を折って設計した地下戦車第一号が、ものの見事に、失敗の作となってしまったので、岡部一郎の落胆《らくたん》は、非常に大きかった。
 彼は、掘りだされた醜態《しゅうたい》の地下戦車の中から瓦斯《ガス》にふかれたまっくろな顔を外へ出したとき、その両眼は、無念の涙で一ぱいだった。
 彼は、戦車からはいだすと今にもぶったおれそうな身体を、両脚で支《ささ》えて、加瀬谷少佐の前に出た。
「部隊長どの、自分は……」
 とまではいったが、あとはのどにつかえて、声が出なくなった。彼は、歯をくいしばって、われとわが横面《よこつら》を、がーんとなぐりつけた。そして、はっとしたところで、彼は、懸命の声をふりしぼって、
「……自分は、すまないことをいたしました。用意が足りんで、まことに、すまないでありま
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